まだ私が小さかった頃は、家の事情で犬が飼えず近所の野良犬たちと遊んでいました。そしてやっと念願の犬(マルチーズのコロ)が家で飼えることになりました。それはもう兄弟以上の関係です。それからというもの犬に興味を持ち始め、将来は獣医になろうと決心し獣医の大学を受験する事になりました。その受験勉強のときも片時も離れず、膝の上にコロを乗せて勉強に励む毎日が続きました。そして、何とか現役で大学に合格したはいいものの、愛犬コロとは離ればなれの生活を送ることになってしまいました。
さらに、大学卒業後も横浜で修行することとなり、あまりコロには会えない日々が続きました。ところがその修行のさなか、愛犬コロが急に倒れてしまったという連絡があり、急いで自分の働いていた病院に連れてきて調べたところ、なんとお腹の中にこぶし大の腫瘍ができており、それが破裂して出血によるショックを起こしていました。それで、緊急手術となり腫瘍を摘出しました。そのときコロは10才をこえていました。その腫瘍を病理検査で調べた結果、悪性の血管肉腫であることが分かり、目の前が真っ暗になる思いをしました。
自分の兄弟以上の関係であったコロが余命あと数ヶ月かと思うと、何をしても力がわいてきませんでした。それでもコロが、獣医師である自分をさらに成長させるためにいろんな意味で勉強させてくれたのだろうと思うことにして、必死に修行に励みました。その後、3ヶ月もしないうちにコロは静かに息を引き取りました。
さすがに獣医師である私も、その時には一飼い主に戻り、冷たくなって横たわっているコロの体を、以前していたと同じ様に膝の上に乗せたまま、声を張り上げて泣いていました。翌日になり、コロの亡きがらを火葬してもらい、雲一つなく晴れ渡った青空に煙となってコロが昇っていく姿をただじっと眺めていました。その時の風景が今もなお、脳裏に焼き付いて残っています。数年間という短い期間でしたが、コロという存在があったおかげで獣医師としての現在の私があり、ここまで成長できたのだと思います。自分の人生において、今後もこれ以上ない思い出として大切にしまっておきたいと思います。
以上が、私自身が体験した愛犬とのエピソードです。このような気持ちは、やはり味わったことがないと全然分からないことだと思います。私は今でもその時の気持ちをずっと忘れずに、現在そういう立場にある人たちに少しでも役に立てるような獣医師になって行きたいと思っています。それがコロの願いでもあることでしょう。
今後ともANIMAL CARE H&Hをよろしくお願いいたします。
関 昌弘